化学は美しい

私が初めて化学に興味を持ったのは高校の授業で化合物の構造美に惹かれたからです。
元素の組み合わせには一定のルールがありますが、組み合わせは事実上無限にあります。私は自分が美しいと思う分子を自分で設計・合成できるようになりたいと思い、有機合成化学の世界に引きずり込まれて行きました。その後、私は有機化学を専攻し、欲しいものを作るために必要な技術と知識を身につけました。
しかし、実際の分子はとても小さく、ほぼ全ての有機分子は肉眼では白い粉か無色の液体にしか見えません。その美しさをわかりやすく表現するには、人間のスケールに分子構造を再設計する必要があると思いました。
アクセサリーはこれに最適な媒体だと思い、当時色々なお店やサイトを探しましたが、どこにも見つかりませんでした。ないものは作れるのが化学の良いところなので、自分で作り始めました。自作の化学式アクセサリーを身につけていたところ、驚いたことに化学者以外の方々から好評を受けました。この経験が化学の美しさを理解するのに化学の知識は必要ないという気づきにつながり、人々と化学の関わり方について考えるようになりました。
ほとんどの人にとって化学との（唯一の）接点は学校の勉強です。残念なことに、この経験が良い記憶になる人は多くありません。多くの人が化学を嫌いになってしまうのは、勉強が化学と接する最良の方法ではないからではないだろうか？学術的に面白くないからといって、化学を全否定するのはもったいないと思います。植物学の知識がなくても花を楽しめるように、化学の学問的な側面を理解しなくても化学を楽しむことは可能だと思います。化学の理解度に関係なく、美しいもので自分を飾りたいという欲求は誰にでもあります。
私たちのアクセサリーが人々の化学に対する見方を変えてくれることを願っています。